2021.3.20
シート防水と塗膜防水は何が違う?建物によって向き不向きがあるって本当?
防水工事は建物を雨漏りから防ぐために欠かせない工事です。
屋上はもちろんのこと、陸屋根(勾配の無い屋根)やバルコニー、開放廊下や外階段など、雨に晒される箇所には防水工事が必須となります。
防水工法は建物や用途によって用いられる工法・素材が異なりますので、今回はそれぞれの防水工法について詳しく解説していきたいと思います。
シート防水と塗膜防水の違いとは?
塗膜防水(ウレタン)
塗膜防水は液体状の防水材を塗り広げて硬化させ、防水被膜を形成させる防水工法です。
液状の樹脂で形成されるため、シート防水では施工が難しい複雑な形状でも簡単に施工ができます。
シームレスのため隙間から雨漏りする心配もなく、美観にも優れているといった特徴があります。
また、既存の防水層の上から塗装でき、5~6年毎にトップコートを再塗装することで15年程度防水効果を維持することもできます。
価格も比較的安価なため、防水工事として最もポピュラーな工事の一つなのです。
しかし、塗膜防水は手作業で行うため、職人さんの良し悪しによって劣化が早まってしまうことも否めません。
塗膜防水を検討されている方は、塗膜防水の経験が豊富な業者にお任せするのが安心です。
塗膜防水(FRP防水)
FRP防水はガラス繊維などの強化材と合成樹脂が組み合わされた防水材を塗り広げて硬化させ、防水被膜を形成させる防水工法です。
軽量かつ耐久性、耐熱性、耐候性などに優れており、歩行などに対しても強いことから、歩行頻度の高いベランダの新築時の防水工事として採用されることが多い防水工法です。
ウレタン塗膜同様、多様な形状に施工できシームレスな仕上がりになるため、美観にも優れています。
しかし、紫外線に弱く伸縮しにくい性質があるため、地震などによってひび割れが生じる恐れがあります。
シート防水(ゴムシート防水)
ゴムシート防水工法は、シート状になっているゴム状の防水シートを接着剤や粘着テープなどで貼り付け、防水被膜を形成させる防水工法です。
安価かつ軽量で伸縮性に優れており、低コストと簡便さが最大の魅力と言えます。
しかし、防水材がシート状になっていることから
- 複雑な形状には適していない
- 繋ぎ目ができてしまう
- 鳥害など外部からの衝撃に弱い
という点が問題点として挙げられます。
シート防水(塩ビシート防水)
塩ビシート防水工事は、塩化ビニル樹脂で作られた防水シートを接着剤などで施工する密着工法(接着工法)。
固定ディスクを用いて防水シートと下地を接合する機械固定工法があります。
熱風溶接機による熱風融着でシートを一体化させるため隙間から雨漏りする心配がありません。
ゴムシート防水に比べ耐久性・遮熱性に優れていることから、シート防水といえば現在では塩ビシート防水が主流となっています。
建物の下地のコンディションが著しく劣化している場合、
- 塗膜防水では密着しにくい
- 下地の調整が必要
という点があります。
しかし、塩ビシート防水の機械固定工法であれば下地の影響を受けることがありません。
アスファルト防水
アスファルト防水には熱工法、トーチ工法などの工法があります。
熱工法は熱したアスファルトコンパウンドでアスファルトルーフィングを貼りあわせて防水層を形成する工法です。
トーチ工法はアスファルトを含浸させた防水材をトーチバーナーで炙り、防水材を一部溶解させて防水層を形成する工法です。
二層以上の積層工法が原則で、施工後すぐに硬化して防水性能を発揮し、水密性・耐久性ともに高く、他の工法と比較して耐用年数も長いといった特徴があります。
しかし、防水材事態の重量があるため木造建築には向いておらず、アスファルトの溶解時に臭いや煙を発生させるといったデメリットもあります。
まとめ
防水材は種類、工法が多く、一概にこれがベスト!とは言えません。
ベストの防水材とは建物の形状、用途、将来に向けての劣化要因などすべて加味して選定されるべきです。
そのためにも、建物の目的、オーナーの意見をしっかり聞いて、工事に反映してくれる防水工事業者を選ぶようにしましょう。