COLUMN 建物トラブル解決コラム

2021.1.18

陸屋根の防水にメンテナンスが必須な理由

雨漏り、防水、シーリング

マンションなど鉄筋コンクリート造の建物でよく見られる屋根形状といえば「陸屋根」です。

「陸屋根」とは勾配のない平面状の屋根のことをいい、「ろくやね」あるいは「りくやね」と呼びます。

「陸屋根」は、その形状からくる性質上、防水工事が重要な役割を果たし、また建物の寿命を守るためにはメンテナンスが必須となります。

というのも「陸屋根」は、劣化によって防水機能を損ねると、他の屋根形状よりも影響を受けやすいなどのリスクがあるためです。

そこで今回は、「陸屋根」の防水が劣化するとどのようなリスクが想定されるのか、また効果的に長持ちさせるにはどうすればよいのかを紹介します。

陸屋根の防水にはメンテナンスが必須な理由

陸屋根の防水にはメンテナンスは欠かせません。

もちろん屋根形状に関わらずメンテナンスは重要ですが、とくに陸屋根は劣化による影響を受けやすく、大きなリスクが想定されるためです。

陸屋根は、平面状であることからそのスペースをさまざまな用途で有効活用できることや、お手入れやメンテナンスなどの管理がしやすいことなどのメリットがあります。

しかし一方で、いったん雨水を受け強制的に排水しなくてはいけない構造であるため、防水機能が働かないと雨水の侵入を防ぐことが難しくなる点はデメリットといえます。

そのため、防水の劣化の進行は雨漏りに直結しやすく、このことが想定されるリスクであり、メンテナンスが必須な最大の理由です。

陸屋根の防水のメンテナンスを実施する目安について

 

陸屋根の防水にはいくつかの種類があり、それぞれ期待できる耐久年数が異なります。

環境によっても変わりますが、おおよその耐久年数を目安として計画的にメンテナンスを検討することが重要です。

陸屋根の防水の種類と、目安となる耐久年数は以下の通りです。

塗膜防水

塗膜防水とは、液状の防水材料を使い「塗る」ことによって形成する防水層で、期待できる耐久年数は10年程度です。

「ウレタン防水」と「FRP防水」の2種類が代表的な塗膜防水で、いずれも複雑な形状に対応が可能で継ぎ目のない防水層をつくれることが特徴です。

シート防水

シート防水とは、シート状の防水材を使い「貼る」ことによって形成する防水層で、期待できる耐久年数は10~15年程度です。

おもに、「塩ビシート」と「ゴムシート」の2種類が代表的なシート防水で、比較的コストが安く耐久性が高いなどコストパフォーマンスに優れることが特徴です。

アスファルト防水

アスファルト防水とは、液状の溶融アスファルトとアスファルトルーフィングを使い「塗る」と「貼る」を組み合わせて形成する防水層で、期待できる耐久年数は15~20年程度です。

非常に歴史が古く、信頼性の高さからマンションなどの屋上防水としては最もポピュラーなものになります。

施工方法には、「熱工法」「冷工法」「トーチ工法」の3種類があり、施工条件などから選択して実施します。

陸屋根の防水を効果的に長持ちさせる方法

陸屋根の防水を効果的に長持ちさせる方法とは、定期的なメンテナンスに加えて日常的にもセルフチェックをして状況に応じたお手入れを心がけることです。

陸屋根は、目視による確認ができるケースも多く、その点では他の屋根形状と比較してもお手入れもしやすい環境といえます。

おもにチェックしておきたいことは以下の通りです。

排水ドレンの状況

まずは、排水ドレンの状況です。

ゴミがたまって排水不良が起こると、水が残りドレンや防水層の劣化を加速させる原因になります。

ゴミがある場合は速やかに取り除き適切に排水されるようにしなくてはいけません。

とくに台風や強風の後にも飛散物によって排水が阻害されることもあるため、こまめなチェックを心がけましょう。

トップコートの劣化状況

続いてはトップコートの劣化状況です。

塗膜防水の場合、仕上げはトップコートを塗装しますが最も紫外線などの影響を受けるため、まず劣化症状が現れる部分になります。

おもな劣化症状は、粉状のものが表面に付着するチョーキング現象や、塗膜の浮き、剥がれなどです。

チョーキング現象はそれほど緊急性が高いわけではありませんが、浮きや剥がれが見られる場合は防水機能が損なわれている可能性があるため、再塗装を検討するとよいでしょう。

こまめなトップコートのメンテナンスは、防水層を長持ちさせるポイントです。

まとめ

陸屋根の防水はメンテナンスが必須です。

劣化が進行してしまうと、雨漏りに直結しやすいだけでなく建物寿命を短縮させかねません。

期待耐久年数を目安として、計画的なメンテナンスを実施しましょう。

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