COLUMN 建物トラブル解決コラム

2024.8.21

地震による建物倒壊のリスクを減らすための予防策

ひび割れ、浮き、タイル工事

地震による建物倒壊は、人的被害や財産損失を引き起こす重大なリスクです。

日本は地震が頻発する地域であり、建物の耐震性を確保することは、住民の安全を守るために欠かせません。

今回は、建物倒壊のリスクを減らすための予防策について、詳細に解説します。

地震による建物倒壊のリスクを減らそう

1. 耐震設計と建築基準

1-1. 建築基準法の理解と適用

日本の建築基準法は、地震に対する耐震設計を義務付けており、1981年の新耐震基準以降、建物はより厳しい耐震基準を満たすことが求められています。

耐震基準の遵守: 建物が新耐震基準に適合しているか確認します。特に1978年以前に建てられた旧耐震基準の建物は、耐震性が不十分な可能性があります。

耐震設計の適用: 新築またはリフォーム時には、最新の耐震設計を適用します。設計段階での耐震性能向上は、倒壊リスクを大幅に低下させます。

1-2. 耐震診断と補強

築年数が経過した建物や旧耐震基準で建てられた建物には、耐震診断と補強が必要です。

耐震診断の実施: 専門家による耐震診断を受けることで、建物の耐震性能を評価し、弱点を把握します。診断結果に基づいて必要な補強策を講じます。

耐震補強工事: 診断結果に基づき、耐震壁の追加、基礎の補強、接合部の強化などの補強工事を行います。これにより、地震に対する耐久性が向上します。

2. 建物の構造と基礎の強化

2-1. 基礎の点検と補強

基礎の点検と補強は、倒壊リスクを減らすための基本的な対策です。

基礎のひび割れと沈下の確認: 基礎にひび割れや不均等な沈下がないか確認します。これらは構造的な問題を示しており、早急な補修が必要です。

基礎の補強工事: 基礎の補強には、追加のコンクリート打設やアンカーボルトの取り付けが含まれます。これにより、基礎の強度と安定性を向上させます。

2-2. 構造材の強化

建物の構造材(柱、梁、耐力壁など)は、地震の力を支える重要な要素です。

柱と梁の強化: 柱や梁の接合部が緩んでいないか確認し、必要に応じて補強します。特に木造住宅では、接合部の強化が重要です。

耐力壁の設置: 耐力壁を追加することで、建物の横揺れに対する耐性が向上します。耐力壁の配置と強度を見直し、適切な補強を行います。

3. 屋根と外壁の点検と修繕

3-1. 屋根の点検と補強

屋根は地震時に落下物の原因となるため、安全性を確保する必要があります。

屋根材の固定: 瓦や金属屋根がしっかりと固定されているか確認します。緩んでいる場合は、適切な方法で再固定します。

屋根の軽量化: 古い建物では、重い瓦屋根が耐震性を低下させることがあります。軽量な素材に交換することで、屋根の負担を軽減します。

3-2. 外壁の点検と修繕

外壁の劣化やひび割れも、地震時のリスクを高める要因です。

外壁のひび割れ修繕: 外壁にひび割れがある場合、早急に修繕します。ひび割れから雨水が侵入し、構造材を劣化させることがあります。

外壁の補強: 古い外壁の補強には、新たな耐震材を追加する方法があります。これにより、地震時の外壁の崩落リスクを低減します。

4. 室内の安全対策

4-1. 家具の固定

地震時に家具が転倒するリスクを減らすためには、家具の固定が重要です。

大きな家具の固定: 食器棚やテレビなど、大きな家具は壁に固定します。転倒防止器具を使用することで、家具の倒壊リスクを減らします。

家具の位置調整: 家具を地震時に倒れにくい位置に配置します。特に、重いものは低い位置に置き、倒れにくくすることが大切です。

4-2. 窓ガラスの保護

地震時にガラスが割れて飛び散るリスクを軽減するために、窓ガラスの保護が必要です。

飛散防止フィルムの貼付: 窓ガラスには飛散防止フィルムを貼ることで、割れたガラスの飛散を防ぎます。これにより、ケガのリスクを減らすことができます。

ガラスの交換: 特に古いガラスは割れやすい場合があるため、強化ガラスや複層ガラスに交換することも検討します。

5. 地震対策の管理と維持

5-1. 定期的な点検とメンテナンス

建物の耐震性能を維持するためには、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。

点検のスケジュール設定: 年に一度は専門家による点検を行い、耐震性能のチェックを行います。特に築年数が経過した建物では、定期的な点検が重要です。

メンテナンスの実施: 点検で問題が発見された場合は、速やかに補修や補強を行います。定期的なメンテナンスを怠ると、地震時のリスクが高まります。

5-2. 地震保険の検討

地震保険に加入することで、地震による被害に備えることができます。

保険の内容確認: 地震保険の適用範囲や保険金額を確認し、自分のニーズに合った保険に加入します。火災保険に付帯する形で加入できる場合があります。

保険金の利用方法: 万が一の際に保険金をどう受け取るか、手続き方法を確認しておきます。保険金が適切に受け取れるよう、必要な書類を揃えておきます。

6. 共同住宅での対策

6-1. マンションやアパートの共用部分の点検

共同住宅では、共用部分の安全性も重要です。

特にエレベーターや外階段、バルコニーの点検が必要です。

エレベーターの耐震対策: エレベーターが耐震設計に適合しているか確認し、地震時に自動で停止する機能があるかをチェックします。

外階段とバルコニーの補強: 外階段やバルコニーの強度を確認し、必要に応じて補強工事を行います。特に外階段は避難経路でもあるため、安全性が重要です。

6-2. 管理組合との連携

マンションやアパートでは、管理組合との連携が重要です。

耐震診断と補強の検討: 管理組合で耐震診断を実施し、共用部分の補強工事を検討します。住民全体で協力し、安全対策を進めることが大切です。

防災訓練の実施: 定期的に防災訓練を実施し、住民全員が避難経路や対応方法を把握することが必要です。

地震による建物倒壊のリスクを減らそう まとめ

地震による建物倒壊のリスクを減らすためには、構造や基礎の強化、屋根と外壁の点検、室内の安全対策を行うことが重要です。

耐震設計や建築基準の理解、定期的な点検とメンテナンス、地震保険の検討を通じて、地震時のリスクを最小限に抑えることができます。

また、マンションやアパートでは、共用部分の点検や管理組合との連携が不可欠です。

地震に対する備えを万全にし、住民全体で協力することで、地震による被害を最小限に抑えることができます。

 

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