2022.2.23
地震で基礎にひび割れを発見しました!修理した方が良いのでしょうか?
もし基礎にひび割れを発見した場合、ひび割れ幅や量、部位に応じて修理する・しないを判断しましょう。
なぜかと言うとひび割れ=危険なもの・緊急にやらなければいけないものではないからです。
布基礎でもベタ基礎でも基礎はコンクリートでできています。
地盤と建物の間に設けられた建物を支えるコンクリート部分のことを基礎と言います。
古くから日本の家づくりの基礎となってきた布基礎は、逆T字状の断面を持つ鉄筋コンクリートを床下全体ではなく家の壁に沿って打設する工法で、住宅を支えるのは立ち上がっている部分のみのため、コストを抑えやすいというメリットがある一方で、ベタ基礎と比較して耐震性が劣るというデメリットがあります。
また布基礎の床下部分は地面が剥き出しになっている場合も少なくなく、コンクリートが流されていた場合でも厚みはベタ基礎の半分以下となりますので、湿気やシロアリの被害を受ける可能性が高くなります。
ベタ基礎は阪神大震災以降に広まった工法で、床下部分全体に鉄筋コンクリートを打設して作られる基礎です。
柱や壁だけでなく床面も分厚い面上の基礎で支えることになるため、耐震性が高まり、湿気が建物に伝わりにくくなることから建物の腐食を予防しシロアリ被害も抑えることができます。
コンクリートは家を建て終わった後でも、長い年月をかけて乾燥が進み、ひび割れしやすい性質を持っています。
そのためコンクリートはもともとひび割れしやすいものだと思ってください。
たしかに大きな地震でひび割れしてしまうことは避けられません。
しかし見つけたひび割れが本当に地震によるものなのか乾燥収縮により自然と発生したものか区別はなかなかつけられないと思います。
基礎にひび割れが起こる原因とは?
乾燥収縮
基礎のひび割れで最も多いのは、乾燥収縮によるひび割れです。
乾燥によってコンクリート内部の水分が蒸発することで基礎は収縮を起こします。
コンクリートが自由に変形出来る場合はひび割れは発生しないのですが、鉄筋などに固定されてしまうと自由に収縮できなくなってしまうため、ひび割れが起きてしまいます。
気温変化
コンクリートは温度が急激に下がると縮むという性質を持っているため、温度差によって発生した引張応力がコンクリートの引張強度以上になってしまうと、ひび割れを起こしてしまいます。
不動沈下
地盤が弱い土地に建物を建てる場合は不動沈下に気を付ける必要があります。
建物を安定させるには、建物の重さを均等に支える必要があるのですが、地盤が弱いと建物の重さに地盤が支えきれずに沈下してしまいます。
家が傾いてしまうと、基礎には不自然な力が加わることになりますので、最悪の場合倒壊してしまう恐れもあります。
地震
地震大国日本ではよほど大きな地震でもない限り深刻なひび割れが発生する可能性は低いのですが、古い建物の場合は基礎にダメージが蓄積されていますので、地震が発生した際は基礎にひび割れが発生していないか点検をしておきましょう。
施工不良
コンクリートの厚み(かぶり厚)や強度が不足しているなど、施工不良が原因でひび割れが起こる可能性もあります。
コンクリートの中性化
強アルカリ性のコンクリートは雨水や大気中の二酸化炭素と反応することによって中性化が進んでしまいます。
コンクリートが中性化してしまうと鉄筋がさびてしまい、サビて膨張することによってコンクリートにひび割れを起こします。
基礎にひび割れを見つけた場合の悪質業者の注意ポイント!
工事業者に相談した場合、ひび割れに詳しい会社であれば正確なアドバイスをしてくれますが、中には工事を受注するために高額な修理費を請求する業者もいますので注意が必要です。
こんな返答がきたら気を付けたい3つのポイント!
☑ 以前よりもひび割れが大きくなっています
☑ 繊維補強工事をやれば安心
☑ Vカットシーリングで修理します
以前よりもひび割れが大きくなっています
ひび割れの大きさは、1㎜にも満たない0. 2~3㎜の世界です。
いくら工事業者といえどもその違いを正確に見極めるのは難しいと思います。
あなたの不安を煽り、工事をすぐにやるよう迫るための口実です。
繊維補強工事をやれば安心
たしかに〇〇繊維を使った補強工事は効果があると思います。
しかし実際使われているのは橋や道路の橋脚です。
つまり重量のある構造物の柱などに用いられる工法です。
住宅の基礎に使っても効果がないわけではありませんがその分費用は驚くほど高額になります。
住宅の基礎に用いるにはあまりにも過剰仕様です。
Vカットシーリングで修理します
ひび割れ修理の方法に V カットシーリング充填工法があります。
ひび割れを文字通りV状にカットしてシーリングを詰めるやり方です。
ひび割れの修理方法としては用いられるのですが基礎の補強には向いていません。
表面に切り込みを入れるだけなので雨水が入り込まない効果はありますが、大きな地震が来ればまた同様にひび割れる可能性は高いです。
では基礎にひび割れを見つけた場合修理するかしないかのポイントはどこでしょうか。
基礎にひび割れを見つけた場合の確認したいポイント!
確認したいポイントは3つ!
☑ ひび割れ幅はどれくらい
☑ ひび割れの量はどれくらい
☑ ひび割れの場所はどの辺り
ひび割れ幅はどれくらい
修理が必要なひび割れ幅の目安は、0.2㎜以上と言われています。
これは0.2㎜幅を超えると毛細管現象により雨水が染み込みやすくなる目安と言われています。
公共工事などでも修理の目安は0.2㎜以上となることから、幅0.2㎜以上のひび割れがある場合は修理を検討しましょう。
ひび割れの量はどれくらい
コンクリート製の基礎は、自然にもひび割れが発生しやすいため、2~3箇所程度のひび割れであれば自然と発生したものかもしれません。
あまりにも多くのひび割れが目に付く場合、通常ではないので修理を検討しましょう。
ひび割れの場所はどの辺り
ひび割れが発生している部位でも良いひび割れと悪いひび割れがあります。
床下換気孔がある場合、その周囲にひび割れが発生しやすいです。その部分には地震が起きなくても発生するケースが多々あります。
注意したいのは換気口以外の部分です。
斜めや水平にひび割れが発生している場合、不自然な終わり方なので注意が必要です。
基礎にひび割れを見つけた場合の対処法 まとめ
確かにひび割れは家の傾きや倒壊につながってしまうのではないかと不安に思うと思います。
しかしその不安を利用して高額な工事費用を請求する業者がいるのもまた事実です。
そしてひび割れ修理は専門性が高いため、素人業者による手抜き工事が横行しているのも問題です。
ひび割れを見つけたら、焦らずにまずは出入りしている工務店さんやハウスメーカーさんなどに相談してみましょう。
それでも心配な場合は、ひび割れ修理を専門で行なっている業者さんをホームページなどで探して相談してみてください。