COLUMN 建物トラブル解決コラム

2023.7.18

壁のひび割れから始まる大問題:早期発見と対策方法

アパート、マンション

修理費用が1.7倍

お客様からこのような依頼がありました。

「地震が原因で壁にひび割れがあるので見てほしい」

現地を確認し見積もりを行いましたが、ひび割れの程度は比較的小さかったため、お客様は工事をためらいました。

ところが、1年後になって壁が大きく崩れ始め、再度現地調査を行った結果、ひび割れの中にあった下地の木材が腐食していることが判明しました。

修理はまだ可能でしたが、見積もり費用は当初の見積もりの1.7倍になってしまいました。

初回に工事を行っていればムダな費用を支払う必要はありませんでした。

微細なひび割れでも放置すると後々大問題に発展することが多々あります。

今回はひび割れの早期発見の大切さと対策方法についてお知らせします。

壁のひび割れの発生原因

壁のひび割れの発生源は大きく分けて以下の点にまとめられます。

  1. 地震
    地震が発生すると、ひび割れが生じることがあります。特に大きな地震では、建物の基礎構造部分にひび割れが生じる可能性があります。このようなひび割れは建物の強度などに影響を及ぼすことがあります。
  2. 材料の老朽化
    建物に使用されている材料は時間とともに老朽化します。時間の経過とともに材料は劣化し、ひび割れや雨漏りなどの外的要因が加わると老朽化が進行します。
  3. 建設過程での問題
    建設時に施工不良や手抜き工事が行われた場合、その影響は後に現れることがあります。地震などの外的要因がないのに突然ひび割れを発見した場合は注意が必要です。
  4. 気候変動
    絶えず雨が当たったり、極端な日当たりや日陰がある場所ではひび割れが発生することがあります。

ひび割れの早期発見方法とシグナル

建物の基礎や外壁など、目につきやすい場所のひび割れは比較的早期に発見することができます。しかし、目につきにくいひび割れが後になって大きな問題となることもあります。目につきにくいひび割れを発見するためのシグナルとして、以下のような兆候があります

  1. 壁面の色が変わってきた:ひび割れが進行すると、壁面の色や質感が変化することがあります。色合いの違いや明暗の変化に注意しましょう。
  2. 壁紙が剥がれてきた:ひび割れが進行すると、壁紙が浮いたり剥がれたりすることがあります。特に壁の端や角に目を向けて、壁紙の異常をチェックしましょう。
  3. ドアや窓が開けにくくなってきた:ひび割れが進行すると、建物の歪みが生じることがあります。その結果、ドアや窓が正常に開閉できなくなることがあります。開け閉めの際に違和感を感じたら、ひび割れの可能性を疑って点検しましょう。

ひび割れの深刻さと対応方法

ひび割れは以下のレベルに分類されます。

レベル1:ヘアークラック(髪のような微細なひび割れ)

ひび割れ幅が0.1mm以下程度で、目視で確認することができますが、微細で初期段階のひび割れです。この段階では影響はほとんどありません。
レベル2:収縮クラック(構造体の乾燥収縮などによって発生したひび割れ)

ひび割れ幅が0.2mm以上で、この幅を超えると雨漏りやコンクリートの中性化などの影響が出ると言われています。すぐに影響が出る状態ではなく、徐々に建物を崩していきます。この段階で放置すると建物の劣化が大きく進行します。
レベル3:構造クラック(地震や構造上の欠陥などにより、主要構造部に発生したひび割れ)

雨漏りやコンクリート、タイルの落下などの影響がすぐに見られる状態です。生活への影響や人的被害が発生するため、早急な修繕が必要な状態です。
ひび割れを発見したら、まずは冷静に自身で確認してみましょう。

ひび割れに対する対応方法と専門家の依頼

これらのひび割れの発生原因に対する対策方法としては、以下のことが考えられます。

  1. 地震に備えて、建物の基礎構造を強化することや耐震補強を行うことが重要です。地震に強い建物を設計・施工することで、ひび割れの発生を最小限に抑えることができます。
  2. 定期的なメンテナンスを行い、材料の老朽化を予防することも重要です。建物の部位ごとに点検し、必要な修繕や補修を行うことで、ひび割れの発生を防ぐことができます。
  3. 建設時には品質の高い材料を使用し、適切な施工を行うことが必要です。信頼できる工事業者に依頼し、施工品質についても確認することが重要です。
  4. 気候変動による影響を軽減するために、外壁の防水処理や適切な換気など、建物の環境管理に配慮することも大切です。

これらの対策を適切に実施することで、ひび割れの発生を未然に防ぐことができます。定期的な点検や適切なメンテナンスを行い、建物の耐久性を確保することが重要です。

ただし、ひび割れが深刻な状態である場合や自身の技術や知識では対応しきれない場合は、迅速に専門家に相談することが必要です。

ひび割れの予防策

ひび割れが再発しないようにするために、以下の予防策も検討しましょう。

  1. 適切な建築材料の使用:工事を依頼する際には、どの建築材料が使用されるかを事前に確認することは難しいですが、信頼できる工事業者に依頼することで適切な建築材料の使用を期待できます。信頼性の高い業者を選ぶことが重要です。
  2. 良質な施工:高価な建築材料を使用しても、施工が不十分であれば効果はありません。実績豊富で信頼できる工事業者を選ぶことが重要です。適切な技術と経験を持った業者に依頼し、品質の高い施工を実現しましょう。
  3. 定期的なメンテナンス:建物の定期的な点検とメンテナンスを行うことも重要です。半年に一度または1年に一度、建物の調査点検を行いましょう。必要に応じて、業者に依頼して点検を行うことも考慮してください。ただし、業者に依頼すると費用が発生する場合もあるため、自身でも簡単な確認をすることも良いでしょう。

まとめ

建物のひび割れは重要な問題ですが、早期の発見と適切な対策を行うことで深刻な損傷を防ぐことができます。

  1. 日常的な観察を心掛けましょう:建物の外壁や内部を定期的にチェックし、異常なひび割れや変化に注意を払いましょう。目につきにくい箇所も見逃さずに点検しましょう。
  2. 異常を発見したら迅速に対処しましょう:壁のひび割れや他の構造上の問題を発見したら、すぐに対策を講じるか専門家に相談しましょう。放置すると問題が悪化し、修理費用が増える可能性があります。
  3. 信頼できる専門家を選びましょう:修理やメンテナンスを行う際には、信頼できる専門家や工事業者を選ぶことが重要です。実績や評判を確認し、複数の見積もりを比較することで適切な選択ができます。
  4. 定期的なメンテナンスを行いましょう:建物の定期的な点検とメンテナンスを怠らないようにしましょう。予防的な措置や早期発見によって、ひび割れや他の損傷のリスクを低減できます。
  5. 安全を最優先に考えましょう:建物のひび割れは安全上の問題につながる可能性があります。自身や家族の安全を最優先に考え、適切な対策を講じましょう。

建物のひび割れに対する早期対応と予防策を実施し安全な住環境を維持するために、ひび割れに対して積極的に取り組んでみてください。

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