2020.12.20
冬に部屋が寒い理由とは?暖房効果を高める方法をご紹介
冬の季節、いくら暖房してもなかなか室温が上がらず、いつも寒くて困っているという人も多いのではないでしょうか?
暖房しても部屋が寒いのは、そもそも断熱性能が低く、逃げていく熱の量が多いことが原因として考えられます。
とくに住宅の場合、大半の建物は断熱性能が十分でないことから、効果的な対策を検討する必要があるでしょう。
そこで今回は、冬に部屋が寒い理由とその効果的な対策について解説します。
冬に部屋が寒い理由とは?
室内を暖房しても寒いのは、建物の断熱性能が低いことが多くのケースです。
断熱性能が低いと、室内を暖めても逃げていく熱の量が多くなるため、どうしても外部温度の影響を大きく受けてしまいます。
エネルギーロスが多いということは部屋が寒くなるということであり、その結果として光熱費にムダが多くなり、さらには健康リスクがともなうことにもなるのです。
そしてこれらのことは、日本の住宅の断熱性能を対する取り組みがこれまで十分でなかったことが原因でもあります。
省エネ基準からわかる住宅の断熱性能
日本の住宅には、断熱性能を測るものさしとして「省エネ基準」が設定されています。
そして「省エネ基準」は、いくつかの改正を経て少しずつレベルアップされてきましたが、その変遷をご紹介いたします。
- ・昭和55年:旧省エネ基準
- ・平成4年:新省エネ基準
- ・平成11年:次世代省エネ基準
- ・平成25年:改正省エネ基準
これらのうち、既存住宅の7割以上は旧省エネ基準とそれ以前に建てられたものといわれています。
つまり断熱性能という概念がきわめて薄いか、あるいはまったく無い建物がかなり多く残っているということです。
断熱性能はUA値で判断する
建物の断熱性能は、改正省エネ基準になって新たに導入されたUA値(外皮平均熱貫流率)から判断することが可能です。
UA値とは、建物全体の熱損失量を総外皮面積で割ったもので、数値が小さくなるほど性能は高くなります。
ちなみに宮城県の基準UA値は、0.75 W/㎡K以下となっています。
UA値が導入される前にはQ値という指標が使われており、旧省エネ基準における宮城県のQ値は4.7 W/㎡Kです。
このQ値をU値に換算すると、1.62W/㎡K程度になります。
1.62W/㎡Kから0.75 W/㎡Kへと飛躍的に改善されているとはいえ、それでも先進諸国のなかでも最低レベルにあるなどけして十分とはいえません。
最も厳しい基準を設定している北海道は0.46 W/㎡K以下になりますが、例えばヨーロッパでは0.38 W/㎡K以下と、日本の断熱基準がいかに低い水準にあるのかよくわかります。
とくに窓からの熱損失が大きい
建物のなかでも熱の移動がとくに多いのが窓です。
冬の暖房時には、暖めた熱のじつに60%近くが逃げていくといわれており、冬に部屋が寒いのは窓の断熱性能が低いことが最大の原因といってよいでしょう。
そして、窓の断熱性能はU値(熱貫流率)で判断することが可能です。
U値(熱貫流率)とは、1㎡を単位時間あたりそれだけの熱が通過するのかを示す指標で、数値が小さくなるほど性能は高くなります。
現在、窓には4段階の等級からなる断熱性能表示制度があり、それぞれにU値の目安が設けられています。
なお、最も性能が高い等級となる『★★★★』の窓のU値は2.33 W/㎡・K以下です。
しかし、先進国の多くは窓のU値の最低基準を2.0 W/㎡・K以下に設定しているなど、やはりこの点でも十分とはいえません。
また、既存住宅の8割はU値6.5W/㎡・K程度といわれており、この数値を見ても窓からの熱損失がいかに多いのかがわかります。
暖房効果を高める方法とは
室内の暖房効果を高め室温を安定させるには、窓からの熱損失を減らすことが最も有効です。
窓から逃げていく熱の量が少なくなれば外部温度の影響を受けにくくなり、室温の安定化につながります。
そして室温が安定すれば、光熱費の削減や結露の抑制、また「ヒートショック」など健康リスクの低減など多くの効果が期待できるでしょう。
窓の熱損失を減らす方法として、ペアガラスやトリプルガラスなど複合ガラスにしたり、既存窓の内側に新たな窓を設置して二重窓にしたりすることなどが挙げられます。
またサッシ部分を樹脂製や木製などにすると、さらに高い効果を発揮します。
断熱シートや断熱パネルなどをガラスに貼るといった手軽な方法もありますが、これらは見た目があまりよいとはいえず、また大きな効果が期待できるとは限りません。
まとめ
冬に部屋が寒くなるのは建物の断熱性能が低いことがおもな原因です。
とくに窓の性能が低いため、そこから逃げていく熱の量を減らすような対策をすることで効果を発揮するでしょう。