2020.9.2
基礎にひび割れを発生させる5つの原因と危険性の基準とは?
住宅の重さを支えている基礎にひび割れを発見したとき、「大きな地震が来たら、家が傾いてしまうかも」と不安に感じる人も多いかもしれません。
しかし、基礎に発生するひび割れにも種類があり、危険性があるものとないものに分けられます。
また、基礎にひび割れが生じるのはけして珍しいことではなく、さまざまな原因が考えられます。
そこで今回は、基礎にひび割れが生じる原因と危険性を判断する基準についてご紹介したいと思います。
基礎にひび割れを発生させる5つの原因
基礎にひび割れが生じるのは珍しいことではなく、さまざまな原因があります。
なかでも代表的なものといえば以下の5つです。
- ・乾燥収縮
- ・劣化
- ・不同沈下
- ・施工不良
- ・地震
乾燥収縮
基礎に発生するひび割れの原因で、最も多いのは乾燥収縮によるものです。
コンクリートは、打設直後から徐々に水分が蒸発します。
水分の蒸発とともにコンクリートは収縮し表面が引っ張られるため、その影響からひび割れが発生します。
乾燥収縮によるひび割れを抑えるには、打設時の配合を検討するなどコンクリート材料の対策が必要です。
劣化
コンクリートは強度が高く耐久性にも優れますが、経年とともに必ず劣化し、その過程でひび割れを発生させることがあります。
また劣化症状にもいくつかの種類があります。
おもな劣化症状とは以下の通りです。
- ・アルカリシリカ反応
- ・凍結融解作用
- ・コンクリート疲労
- ・中性化
劣化によるひび割れは、進行性のものであることから放置すると強度の低下や鉄筋の腐食へとつながりやすく、非常にリスクが高いといえます。
また、鉄筋にまで影響が及び錆びてしまうようなら、鉄筋は膨張しコンクリートを内側から破壊する「爆裂」にいたることもあります。
いったん「爆裂」が起こると、その範囲を拡大させながらコンクリートの耐久性を著しく低下させるため注意が必要です。
なお、コンクリートの中性化に関する詳しい内容は、「コンクリートが中性化する原因と効果的な2つの対策」の記事を参考にしてください。
コンクリートの「爆裂」に関しては、「コンクリートの爆裂はリスクが大きい?原因と補修方法を解説」の記事に詳しく解説しています。
不同沈下
地盤面が不揃いに沈下すると、建物が傾き、基礎にひび割れが発生することがあります。
不同沈下は時間をかけてゆっくり進行するため緊急性を感じにくい側面もありますが、地震発生時に大きな被害へとつながるケースもある点では注意が必要です。
基礎や外壁に不同沈下が疑われるひび割れを発見したときには、専門業者に相談しておくとよいでしょう。
また、不同沈下によって建物が傾くと、基礎のひび割れだけでなくそこで暮らす人の健康リスクが生じる可能性もあるため、その場合はなんらかの対策が必要です。
施工不良
基礎のひび割れは、基礎工事中の施工不良が原因で発生することがあります。
おもにコンクリートの打設時での問題になりますが、打ち重ねにおける上下層の一体化が十分でない場合にひび割れやすくなります。
この打ち重ねの境界で一体化しない部分を「コールドジョイント」といい、構造的にも問題が起こりやすい注意しなくてはならない現象のひとつです。
「コールドジョイント」は中性化を加速させ、コンクリート寿命を縮める原因にもなります。
そのため、まず起こらないよう適切な施工をすること、そして起こってしまった場合は症状に応じた補修をすることが重要です。
また、その他にも型枠の脱型作業の不備や養生期間中の振動などもひび割れが発生する原因となります。
地震
大きな地震にともなって基礎コンクリートにひび割れが発生することがあります。
そもそもコンクリートは、引っ張り方向に対する力には弱く、地震が起こることで基礎表面にはひび割れが発生しやすいといえます。
しかし鉄筋を入れることでコンクリートの弱点である引っ張り方向への力を負担し、強度を高めて崩壊を防いでいるのです。
地震によるひび割れは状況に応じた補修を行うケースもありますが、地震保険を適用できる場合があります。
なお、地震保険によるひび割れ補修に関しては、「地震によるひび割れで保険はおりる?地震保険に加入したほうがよい理由とは?」の記事を参考にしてください。
基礎のひび割れの危険性を判断する基準
基礎のひび割れは、危険性が低いものと高いものに分けることができます。
その危険性を判断する基準となるのは、ひび割れの規模です。
危険性が低いと判断できるひび割れであればすぐに補修する必要はないとされていますが、一方で危険性が高いと判断できるひび割れは適切な補修を検討する必要があります。
ひび割れの危険性を判断する基準とは以下の通りです。
危険性が低いひび割れの基準
危険性が低いひび割れの基準とは、幅0.3mm未満、深さ4mm未満で、いわゆる「ヘアークラック」と呼ばれるものです。
「ヘアークラック」という名前の通り、髪の毛ほどの細いひび割れのことをいい、構造に影響を与えるものではないとされています。
ただし、時間の経過とともに大きくなっていく場合もあるため、経過観察は必要になるでしょう。
危険性が高いひび割れの基準
危険性が高いひび割れの基準とは、幅0.3mm以上、深さ4mm以上のひび割れで、「構造クラック」と呼ばれることもあります。
「構造クラック」は、規模が比較的大きいため中性化が進みやすく、コンクリート寿命を縮めるなど構造に影響を及ぼす可能性が高いと判断できます。
そのため、「構造クラック」を発見した場合は、できるだけ早く専門業者に相談し、適切な補修をすることが重要です。
なお、放置して症状が進行すると、ひび割れの規模はどんどん大きくなっていくことも考えられ、雨水の侵入などで鉄筋が錆びてしまう可能性もあります。
コンクリートの寿命は鉄筋が錆びるまでといわれるだけに、大事な建物を守るためにも鉄筋への影響は避けなければいけません。
鉄筋にまでダメージが及ぶと、とくに地震発生時には重い建物を支えきれなくなることも考えられるため、不測の事態に陥る前に適切な対処を施すことをおすすめいたします。
基礎のひび割れの補修方法
基礎のひび割れはさまざまな原因で発生しますが、適切に補修することで機能の維持が可能です。
また、基礎のひび割れの補修方法は、その規模によって検討することになります。
おもな補修方法は、大きく以下の3種類です。
- ・ひび割れ被覆工法
- ・注入工法
- ・充填工法
なおコンクリートのひび割れ補修の方法に関する詳しい内容については、「【コンクリートひび割れ】発生原因と補修方法!適切な補修材は?」の記事を参考にしてください。
基礎のひび割れ:まとめ
重い建物を支える住宅の基礎は、根幹ともいえる重要な構造部分です。
ひび割れが生じるのは珍しいことではありませんが、危険性の低いものと高いものを見きわめることがポイントになります。
ひび割れを発見してしまって不安に感じることがあるかもしれません。
しかし、状況に応じた適切な方法で補修すれば大きな問題に発展することは少ないでしょう。
適切な方法で補修するには、経験豊富な専門工事会社に依頼することがきわめて重要です。
弊社でもひび割れについてのご相談、お見積りを行っております。
下記までお気軽にお問合せください。