2023.12.12
左官仕上げにはどのような種類がある?
漆喰、掻き落とし、洗い出し…。
左官仕上げは材料ごとに様々な表情を持たせることができ、左官職人のセンスや技術、使う道具によって仕上がりのバリエーションは無限大に広がります。
今回はそんな左官仕上げの種類について紹介していきます。
左官とは?
左官(さかん)は、建築物の外壁や内壁を仕上げるための技術や職人のことを指します。
主に漆喰やモルタルなどの材料を用いて壁面を仕上げ、平らで美しい表面を作り出す作業を行います。
左官作業では、壁面の下地処理や型枠の設置、材料の塗布や仕上げ、模様や彫刻を施すなどの工程が含まれ、左官作業は建築物の美観や耐久性を高めるために重要であり、建物の外観や内装の美しさと品質を向上させる役割を果たしています。
左官仕上げの種類│漆喰(しっくい)仕上げ
漆喰仕上げは、漆喰と呼ばれる材料を使って壁面を仕上げる技法です。
漆喰は石灰と砂、水などの素材を混ぜて作られ、古くから建築物の内壁や外壁の仕上げに広く使用されています。
漆喰仕上げの手法
①下地処理
壁面の下地を整えます。必要に応じてクラックや不均等な部分を修正し、平らな表面を確保します。
②下塗り(プライマー)
漆喰を塗布する前に、壁面にプライマーと呼ばれる下塗り材を塗ります。
これにより、漆喰の密着性が向上し、均一な仕上がりを実現します。
③漆喰の塗布
漆喰を塗ります。
漆喰は均等に塗り、壁面全体を覆います。
職人は均等な厚さで塗ることで、滑らかで美しい表面を作り出します。
④仕上げ
漆喰が乾燥した後、表面を仕上げます。
漆喰の表面を擦ったり磨いたりして、滑らかな質感や光沢を与えることがあります。
また、漆喰に色素を混ぜて色をつけたり、模様を付けたりすることも可能です。
漆喰仕上げの特徴として、耐久性がありながらも呼吸する性質を持ち、湿気を調整する働きがあることが挙げられます。
さらに、自然素材であり、環境にやさしい建材としても知られています。
左官仕上げの種類│モルタル仕上げ
モルタル仕上げは、主にセメントや石灰、砂、水などを混ぜて作られたモルタルと呼ばれる材料を使用して壁面を仕上げる左官技術の一つです。
モルタル仕上げは、建築物の外壁や内壁の仕上げに広く用いられています。
モルタル仕上げの手法
①下地処理
壁面の下地を整えます。
クラックや凹凸を修正し、平らな表面を確保します。
下地処理はモルタルがしっかりと密着し、均一な仕上がりと耐久性を確保するために重要です。
②型枠の設置
モルタルを塗布するための型枠を設置します。
型枠はモルタルが均等に塗布されるように支援し、仕上がりのデザインや厚みを制御するために使用されます。
③モルタルの塗布
モルタルを均等に壁面に塗ります。
職人はヘラやコテなどの道具を使用して、モルタルを均等に広げ、表面を整えます。
④仕上げ作業
モルタルが乾燥した後、仕上げの作業が行われます。
モルタルの表面を滑らかにしたり、テクスチャーを与えたり、模様を作ったりすることで、特定のデザインや質感を実現します。
モルタル仕上げは耐久性があり、様々な質感やデザインを表現することができます。
また、天然石や人工的な資材と組み合わせて、斬新な外観を作り出すことも可能です。
左官仕上げの種類│掻き落とし(かきおとし)仕上げ
左官仕上げの掻き落としは、壁面の仕上げ工程の一部であり、主にモルタルや漆喰などの仕上げ材を均一で美しい仕上がりにするための手法です。
掻き落とし仕上げの手法
①仕上げ材の塗布
モルタルや漆喰などの仕上げ材を均等に壁面に塗ります。
②表面を滑らかにする
道具やヘラを使って表面を均等に整えます。
③掻き落とし作業
仕上げ材が適度に乾燥したら、表面を掻き落とす作業が行われます。
掻き落としは、ヘラやスクレイパーなどの専用の工具を使って、仕上げ材の表面をこそぎ取ることで、均一で滑らかな質感を出すための手法です。
掻き落としによって、仕上げ材の表面の不均一さや凹凸を取り除き、一定の質感や美しい仕上がりを実現します。
掻き落としの深さや作業のタイミング、手法によって、最終的な見た目や質感が大きく変わるため、左官職人の経験と技術が求められます。
左官仕上げの種類│種石洗い出し仕上げ
種石洗い出しは左官仕上げの一つで、特定の石材や小さな石の粒子を用いて壁面を仕上げる技法です。
この手法では、石の粒子を表面に埋め込み、その後一部を露出させることで、独特の質感や模様を壁面に生み出します。
種石洗い出し仕上げの手法
①仕上げ材の準備
漆喰やモルタルなどの仕上げ材を用意します。
通常、これに石材や砂利などの石の粒子を混ぜ込んで作られます。
②壁面への塗布
仕上げ材を均等に壁面に塗ります。
この際、石材の粒子が均等に配合されていることが重要です。
③表面の露出
仕上げた壁面が適度に乾燥した後、布やスポンジを使用して、表面を軽くこすります。
この作業により、表面の一部分が削られ、石材の粒子が露出されます。
露出させる部分の量や方法によって、石の質感や模様が変化します。
④仕上げ
露出した石材の質感や模様を見ながら、最終的な仕上げを行います。
種石洗い出しは、石材の質感を活かし、壁面に独特のデザインをもたらす方法です。
石材の種類や大きさ、埋め込み方、露出させる部分の調整などが仕上がりに影響を与え、左官職人の経験と技術が求められます。