2021.2.1
サイディングの寿命は何年くらい?長持ちしない2つのケースとは?
住宅の外壁仕上げ材で最も多く使われているのはサイディングです。
サイディング仕上げの住宅で暮らす人にとって、寿命は何年くらいもつのかという点は気になる点ではないでしょうか。
サイディングにはいくつかの種類があり、いずれも正しくお手入れすることで40年程度の寿命が期待できるといわれています。
しかし、サイディングによっては潜在的な問題を抱えているものもあり、不具合が起こりやすく長持ちしないケースもある点では注意が必要です。
そこで今回は、サイディングの寿命は何年くらいなのか、そして長持ちしないサイディングの特徴などを解説したいと思います。
サイディングの寿命について
サイディングの種類は大きく4種類あります。
- ・窯業サイディング
- ・金属サイディング
- ・樹脂サイディング
- ・木質サイディング
サイディングは、いずれも適切なメンテナンスをすることで40年程度の寿命が期待できるといわれています。
適切なメンテナンスとは、表面塗装の劣化にともなう塗り替えなどです。
おもにサイディングの表面には塗装が施されており、紫外線や熱などの外的要因から影響受けて経年とともに必ず劣化します。
塗装の劣化を放置すると、サイディングの寿命を縮めることはもちろん、雨水の侵入を許して構造部を傷めることにもなりかねません。
そうなると、建物寿命を縮める原因にもなるため、定期的なメンテナンスを実施することが重要になるのです。
適正な寿命を維持するためにも、状況に応じたメンテナンスを計画的に行いましょう。
なお、4種類のサイディングの特徴については「外壁材の主流サイディングってなに?4つの種類とその特徴を解説」の記事で詳しく解説したいます。
サイディングが長持ちしない2つのケース
住宅の外壁に使用されるサイディングの80%近くは窯業サイディングになります。
窯業サイディングは40年程度の寿命が期待できるといわれていますが、なかには長寿命が期待できないケースもあるため注意が必要です。
注意が必要なサイディングとはおもに以下の2点になります。
- ・直貼り工法で施工されたサイディング
- ・厚さ12mmのサイディング
直貼り工法で施工されたサイディング
住宅の外壁の主流が、モルタルからサイディングに移り変わったのは1990年代に入ってからです。
しかし当時のサイディングは「直貼り工法」による施工が一般的に行われていました。
「直貼り工法」とは下地面に防水シートを貼り、その上へ直接サイディングを固定するという施工方法です。
「直貼り工法」は、裏側に水分が入り込んでも逃げ道がないため、サイディング本体が吸水したり、あるいは構造を傷めたりするなどさまざまな悪い影響を及ぼす原因になります。
実際に多くの不具合を発生させていることから、現在ではサイディングの裏側に通気層を設ける「通気工法」が標準工法となっています。
「通気工法」が標準工法となったきっかけは、2000年に施工された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」からです。
品確法は住宅建設において一定以上の品質を確保することを目的とした法律で、このときに「通気工法」が取り入れられることで、一般的に採用されるようになりました。
つまり2000年より前に建てられた住宅は、潜在的な問題を抱える「直貼り工法」で施工されている可能性があるといえます。
「直貼り工法」で施工されている場合は40年の寿命を期待するのはきわめて難しく、「通気工法」で張り替えるなど構造を見直す必要があるでしょう。
なお、直貼り工法で施工されたサイディングの危険性やメンテナンス方法については「サイディングの直張り工法は危険?メンテナンスの方法は?」の記事を参考にしてください。
厚さ12mmのサイディング
現在のサイディングは、最小の厚さが14mmとなっていますが、かつては厚さ12mmのものが主流だったころがありました。
窯業サイディングの厚さの見直しがあったのは、2008年のJIS規格改正になります。
このときまで半数以上を占めていた厚さ12mmのサイディングは、経年とともに反りや割れなど不具合が多く発生していました。
そのような背景からJIS規格の最小厚さを14mm以上としたわけです。
つまり、厚さ12mのサイディングで40年以上の寿命を期待するのは難しいといえます。
より高い耐久性を期待するなら、14mm以上のサイディングに張り替えるか、あるいは金属サイディングの重ね張り(カバー工法)などを検討するとよいでしょう。
まとめ
サイディングは、定期的なメンテナンスを実施することで40年以上の寿命が期待できます。
ただし、直貼り工法や厚さ12mmなどのサイディングでは、長持ちさせることは難しいかもしれません。
建物の構造を傷める前に、プロの業者にコンディションチェックを依頼したうえで状況に応じた対処法を検討してみるとよいでしょう。