2020.2.13
外壁のクラックとは?ひび割れの原因と種類
クラックとはひび割れのことをいい、住宅の外壁ではよく見られる現象です。
外壁のクラックはさまざまな原因があり、種類もいくつかに分類できます。
また、クラックにも危険なものとそうでないものがあるため、危険なクラックを発見したときには早期に補修することが重要です。
そこで今回は、外壁クラックの原因と種類についてご紹介したいと思います。
外壁のクラック(ひび割れ)の原因と種類
外壁のクラック(ひび割れ)は、さまざまな原因で起こります。
住宅の外壁材といえば、過去にはモルタル仕上げが多く採用されていましたが、現在はサイディングが主流となっています。
サイディングもクラック(ひび割れ)が起こることがあり、状況に応じて適切な処置を施す必要があります。
なお、サイディングのクラック(ひび割れ)については、「【サイディングひび割れ】発生の原因と補修方法とは?」の記事を参考にしてください。
また、外壁にクラック(ひび割れ)が生じると、見た目が悪くなるだけでなく、雨水が浸水し建物の劣化を早めてしまうため適切に対処することが重要となります。
外壁にクラック(ひび割れ)が生じるには、いくつかの原因と症状が考えられます。
外壁にクラック(ひび割れ)のおもな原因と症状は以下の通りです。
- ・ヘアクラック
- ・乾燥クラック
- ・構造クラック
- ・縁切れクラック
- ・開口クラック
ヘアクラック
ヘアクラックとは、髪の毛ほどの細さ(幅0.3mm未満)のひび割れのことで、おもに塗膜にできることが多くなります。
一般的に危険性が低く補修の必要はないとされていますが、経過観察を続け大きくなるようなら対応を検討するとよいでしょう。
ヘアクラックの発生原因の多くは、塗膜の経年劣化によって素地の膨張縮小に耐えられなくなりひび割れが起こったものです。
ただし、塗料の耐用年数と比較してあまりに早い段階でヘアクラックが生じている場合、施工時の乾燥不足や塗料の選定ミスの可能性もあります。
また、早さをウリにしている業者の場合、塗装の工程をわずか1日で終わらせてしまうところもあるようです。
しかし、しっかり乾燥させてから上塗りをしなければ耐久性を伴わないため、比較的早い段階で剥がれ落ちてしまうことも少なくありません。
塗装作業は、高圧洗浄に始まり、下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りが基本的に必要な工程です。
よって、コストだけで判断するのではなく、正しい施工ができる業者を選ぶことが重要なポイントになるでしょう。
乾燥クラック
乾燥クラックとは、おもに湿式工法による外壁材(モルタル・コンクリートなど)が、乾燥の過程で水分の蒸発とともに収縮が起こり発生するクラックです。
乾燥クラックはひび割れ幅が比較的狭いことが特徴となります。。
また乾燥クラックの場合、表面の収縮は完全に乾燥することで収まるため、拡大することはほとんどありません。
構造クラック
構造クラックとは、建物の構造的な欠陥や、地盤沈下や地震などによって建物に大きな力がかけられた際に生じるクラックです。
ひび割れ幅が広く長いことが特徴的で、外壁材が剥がれ落ちてしまったり、クラックから雨水が侵入したりすることがあるなど、危険性が高く早急に補修が必要となります。
おもに幅0.3mm以上が目安となり、とくに深く貫通しているひび割れを「貫通クラック」といい非常に危険なものとなります。
縁切れクラック
縁切れクラックとは、モルタルなどの湿式工法の塗り継ぎ部分に発生するクラックです。
モルタルなどの施工では、通常一面ずつ一気に作業を行いますが、何らかの事情で作業が中断してしまうと、その部分でひび割れが生じてしまいます。
ただし、縁切れクラックは施工中に発見されることが多いため、ほとんどの場合はその場で補修されます。
開口クラック
開口クラックとは、窓や扉などの開口部周辺に起こるクラックです。
開口クラックの原因は、おもに上下左右の力がかかりやすいという建物の構造上の原因といえます。
とくに地震発生時には、開口部周辺に負荷がかかることで起こりやすくなります。
ただし、地震が原因で生じるクラックの場合、保険が適用される場合があるため、地震によるものなのか確認することが重要です。
場合によっては専門業者に調査を依頼することも効果的です。
なお、地震でのクラック補修については「地震によるひび割れで保険はおりる?地震保険に加入したほうがよい理由とは?」の記事を参考にしてください。
外壁のクラック(ひび割れ)の補修について
外壁のクラックを放っておくと美観を損なうだけでなく、雨漏りの原因となったり、建物の劣化を加速させたりします。
放置すると建物の耐久性は低下し倒壊の危険性も生じてくる恐れもあるため、被害が小さいうちに補修することをおすすめいたします。
ひび割れ幅が0.3mm未満のヘアクラックであれば緊急性はさほど高くありません。
しかし、ひび割れ幅が0.3mmを超えるようであれば構造クラックの可能性があり、さらに1mmを超える場合は下地や構造への影響も考えられます。
また、ひび割れ幅が3mmを超えるような大きなひび割れが生じている場合は、すでに雨水が建物内部へ浸入し構造部分に大きな影響を与えている可能性があります。
大規模な補修となる可能性もあるため、そうなる前に専門業者へ早めに相談し対応を検討するようにしましょう。
外壁のクラック(ひび割れ):まとめ
外壁のクラック(ひび割れ)は、危険性が高いものとそうではないものがあります。
危険性が高いひび割れを発見した場合、早急に補修することが建物の長寿命化を図るうえで重要なポイントとなります。
危険性の高い外壁のクラック(ひび割れ)は、雨水の侵入を許すため建物にとってはきわめて厄介な存在です。
木造住宅の場合は、建物の劣化はもちろん腐食やカビの原因となります。
また、基礎などコンクリート部分で雨水が侵入すると、鉄筋が錆びる原因となり、錆びた鉄筋は体積が膨張することで内側から破壊する「爆裂現象」を起こします。
放置すればするほど被害はどんどん拡大してしまいます。
外壁のクラック(ひび割れ)が気になったら、まずは専門業者に相談して被害を最小限に抑えるための対策を検討しましょう。