2022.12.20
外壁塗装で使用されるフッ素塗料の特徴とメリット・デメリット
外壁や屋根に使用される塗料は主に「合成樹脂」「顔料」「添加剤」「溶剤」の4つの成分で作られています。
その中で塗料の性能を大きく変えるのが「合成樹脂」です。
樹脂に何を使用しているかで、「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」といったグレードにわけられます。
今回はフッ素塗料について紹介していきたいと思います。
外壁塗装で使用されるフッ素塗料は他の塗料と何が違う?
フッ素塗料を紹介するにあたり、まずは各グレードについて簡単に説明します。
アクリル
耐用年数:4~7年 相場:1,000円~1,500円/㎡
安価ですが耐久性に難があるため、短期間で解体する予定の建物や、数年間もてばいいという時におすすめなのがアクリル塗料です。
ウレタン
耐用年数:8~10年 相場:1,800円~2,500円/㎡
柔らかくて密着性が高いという性質があり、木材から金属まで塗る場所を選ばない汎用性が高い塗料です。
シリコン
耐用年数:10~15年 相場:2,500円~3,500円/㎡
現在最も採用されているのがシリコン塗料です。
コストと耐久性のバランスが良く、数多くの製品が存在するためカラーバリエーションも豊富です。
フッ素
耐用年数:15~20年 相場:3,500円~5,000円/㎡
耐候性があり、長期にわたり変退色が起こらないため、頻繁に塗り替えができないビルやマンションなどに採用されることが多い塗料です。
外壁塗装で使用されるフッ素塗料の特徴
フッ素塗料は、蛍石を原料としたフッ素樹脂を配合した塗料のことをいい、低摩擦性(汚れが付着しにくい)、耐候性(紫外線に強い)、耐蝕性(サビや腐食に強い)、親水性(雨で汚れを落としやすい)、耐摩耗性(光沢が長持ちする)などといった特徴があります。
フッ素塗料は耐久性が求められるビルやマンションなどに採用されるのが一般的ですが、決して戸建て住宅には向いていない、というものではありません。
戸建て住宅に普及していない理由はやはり価格の問題です。
今後、塗料の価格が下がってくれば、戸建て住宅の塗装工事にも広く採用されるようになってくるのではないでしょうか。
フッ素塗料を使いたいけどなるべく費用は抑えたいという場合は、外壁はシリコン塗料やウレタン塗料にし、紫外線や風雨の影響を受けやすい屋根をフッ素塗料にするというのも一つの方法です。
屋根は外壁より面積が狭いので塗料の費用を抑えることができますし、劣化しやすい屋根の塗料をフッ素塗料にすることで、外壁と屋根の劣化速度を揃えることができます。
外壁塗装で使用されるフッ素塗料が向かない建物とは?
フッ素塗料はメリットが多い塗料なのですが、一方でそのメリットがかえってマイナスになってしまう場合もあります。
その一つが耐摩耗性(光沢が長持ちする)です。
常に新築のような輝きを保つことができるフッ素塗料ですが、艶があまり好きではないという方にはあまりおすすめできません。
シリコン塗料の場合、光沢は8~10年ほどで約20%減少すると言われているのですが、フッ素塗料の光沢は20年経ってもわずか10%しか減少しません。
また、フッ素塗料には艶消しがないため、調整材を入れることでしか艶を抑えることができないのですが、それでも3分艶までしか抑えられないのがほとんどです。
フッ素塗料はこの艶にこそ雨を弾く効果や外壁を汚れにくくする効果がありますので、調整材を加えてしまうと、折角のフッ素塗料の効果を損ねてしまうことにもなってしまいますので、フッ素塗料を採用する場合は、艶はあるものだとお考え下さい。
他にもフッ素塗料は耐久性が高い反面、塗膜が他の塗料に比べて固いことから、追従性が低く、ひび割れしやすいというデメリットがあるため、モルタル外壁へ塗装する場合は、弾性のフッ素塗料を選ぶようにしましょう。