2022.3.24
地震でブロック塀が倒壊する危険性とは?
2018年6月、大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震が発生し、通学中の小学生が学校のブロック塀の下敷きになって亡くなってしまうという大変痛ましい事故がおこりました。
みなさんのお家の周りでもブロック塀が設置されているお宅があるかと思います。
ブロック塀は補強コンクリートブロック造(鉄筋を通して補強されているもの)で2.2m以下、組積造で1.2m以下までと定められています。
ブロックの高さは20cmなので組積造の場合、6段まで積めるということですね。
塀の高さが基準より高い場合、建築基準法違反となるのですが、あれ?うちの近所にも高いブロック塀のお宅が何件もあるんだけど…と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
ブロック塀に関する基準が設けられたのは1981年の改正建築基準法からなので、それ以前に設置されたブロック塀(上限3m)に関してはそのままになっている場合が多いのと、ブロック塀など軽微な建設工事(500万円未満の工事)については、役所に申請を出す必要がないため、ホームセンターでブロックを購入すれば誰でも施工できてしまうということが、違反ブロック塀が多い理由として挙げられます。
※2019年には規模の大きいブロック塀も耐震診断が義務化されたのですが、一般住宅は除外となっています。
地震でブロック塀が倒壊する前に劣化症状を見極めよう
ブロック塀は経年によって劣化(風化・中性化)していきます。
ブロック塀の耐用年数は定期的なメンテナンスを行っている場合でも最大でも30年程と言われています。
つまり、1981年の改正建築基準法以前に設置された高いブロック塀は、耐用年数を過ぎており、大きな地震が来た際には倒壊する危険性があるのです。
・ひび割れがある
・傾き・ぐらつきがある
・ブロック塀が設置されて30年以上経つ
・基準よりも高い
・控え壁が設置されていない
もしご自宅のブロック塀が上記のものに該当しているようであれば、なるべく早く専門の業者にみてもらうことをおすすめします。
うちのは鉄筋入りで強度があるから大丈夫と思われる方もいるかもしれません。
確かに、鉄筋入りの補強コンクリートブロック塀は、組積造のブロック塀より強度が強く耐震性もあります。
しかし、鉄筋入りのブロック塀であっても、コンクリートが中性化してしまうと鉄筋はサビて膨張し、ひび割れの原因となりますので、補強コンクリートブロック塀であってもメンテナンスや補修は欠かせません。
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地震でブロック塀が倒壊する前に事前に対策を
劣化が進んだブロック塀は、小さな地震でも倒壊するリスクがあります。
近年では台風も大型化しており、台風によってブロック塀が倒壊するケースも増えております。
ブロック塀の改修費用の相場は数十万円程度と言われています。
倒壊したブロック塀が原因で通行人が死傷してしまった場合、損害賠償を求められる可能性があるほか、行政指導を受けていたのにも関わらず放置し、死傷させてしまった場合は刑事責任に問われる可能性もあるのです。
中古物件を購入したり、親御さんが住んでいた建物等を相続した場合、古いブロック塀が設置されている場合があります。
自分が設置したものでなくても、所有者となった時点で工作物責任(工作物の瑕疵によって、他人に被害を与えた場合に所有者が負う賠償責任)が課されることになります。
ぐらつき等が発生していなければさほど危険性はないだろうと思われるかもしれませんが、万が一の事故を未然に防ぐには事前の修繕が欠かせません。
自治体によっては耐震診断やブロック塀の撤去に補助金制度を設けている場合もありますので、詳しくは各自治体までお問い合わせください。