2021.1.5
サイディングのメンテナンスは必要?方法やタイミングを解説します
現在、住宅で使われる外壁材の主流となっているのは「サイディング」です。
新築戸建て住宅では、外壁材の80%は「サイディング」が採用されています。
各メーカーも技術の向上が図られ年々性能は高まっているとはいえ、定期的なメンテナンスは必要です。
とくに外壁は、常に紫外線や雨、汚れなど外的な劣化要因にさらされているだけに、メンテナンスを怠ると建物への影響は避けられないでしょう。
今回は、建物の機能を維持するうえで必要なサイディングのメンテナンスについて、方法やタイミングなどをご紹介します。
サイディングのメンテナンスの方法とは
外壁に使用するサイディングは「窯業サイディング」「金属サイディング」「樹脂サイディング」「木質サイディング」の大きく4種類です。
サイディングの種類ごとの特徴については「外壁材の主流サイディングってなに?4つの種類とその特徴を解説」の記事を参考にしてください。
これらのなかで最も普及しているのは「窯業サイディング」で、おもに表面塗装を施していることで外的な劣化要因から守っています。
ところが、経年とともに表面塗装が劣化すると本来の機能が発揮できなくなり、徐々に建物へと影響が及ぶようになってしまいます。
よって、建物寿命を長く維持するためにもサイディングのメンテナンスは欠かせないのです。
サイディングの代表的なメンテナンスは、以下の通り大きく3つの方法があります。
- ・外壁塗装
- ・重ね張り(カバー工法)
- ・張り替え
外壁塗装
外壁塗装は、サイディング表面の塗装を塗り直す方法です。
サイディングは、紫外線や雨などの影響を受けて、まず外壁塗装から劣化が始まります。
外壁塗装が劣化すると、防水機能が衰えて内部へと雨水が侵入するようになるため、そうならないよう早めに塗装して機能維持を図ることが重要です。
また外壁塗装が劣化するころには、サイディングの目地やサッシ周辺に充填しているシーリングの劣化も多く見られます。
シーリングの劣化も雨水を内部に侵入させ建物を傷める原因になるため、充填し直すことが必要です。
3つのメンテナンスのうち、外壁塗装が最もコストが安くなります。
重ね張り(カバー工法)
重ね張り(カバー工法)は、既存の外壁を残し、その上から新しいサイディングを張る方法です。
既存の外壁を解体しないため、工程の短縮が図れ、さらに人件費や廃材処分費の削減ができます。
ただし建物の重量が増えることは耐震性には不利になることから、原則として金属サイディングなど軽量のものを使う必要があります。
また、既存サイディングの劣化が著しい場合、重ね張りでは改善が見込めないこともありますが、このケースでは張り替えを検討することが重要です。
張り替え
張り替えは、既存のサイディングを解体し、新しいサイディングを張り直す方法です。
この方法は下地のコンディションを確認できるため、建物にとって重要な構造部分に問題が生じていても根本的な改善が図れます。
また既存のサイディングより軽いものを採用すれば、それだけで建物の軽量化による耐震性の向上が可能です。
ただし、工期が長くかかることや廃材処分が必要になることなどの理由から、3つのメンテナンスのうちコストは最も高くなります。
サイディングのメンテナンスに適したタイミングとは
サイディングの種類のなかで最も普及しているのは「窯業サイディング」で、近年では性能も高まり40年以上の寿命が期待できるといわれています。
しかし、メンテナンスを行ったうえで期待できる年数であり、また古いタイプのサイディングであれば性能も今ほど高くありません。
そして、とくに築年数の古い建物でサイディングの状況によっては長寿命が期待できないケースもあるため注意が必要です。
サイディングの長寿命が期待できないケースについては「サイディングの寿命は何年くらい?長持ちしない2つのケースとは?」の記事で詳しく解説しています。
建物寿命を維持し、かつコストパフォーマンスを高めるには、サイディングのメンテナンスを適切なタイミングで実施することがポイントになります。
サイディングのメンテナンスに適したタイミングとは、一般的な耐久年数を目安とし、劣化の状況から判断することです。
部位ごとの耐久年数の目安や、メンテナンスを検討するべき劣化状況についてご紹介いたします。
シーリングの劣化状況
シーリングの劣化が進行すると防水機能が衰えて雨水の侵入を許すようになるため、適切なタイミングで打ち替える必要があります。
シーリングの耐久年数は10年程度になりますが、種類によっては性能が低く、非常に早く劣化してしまうケースもある点では注意しておく必要があります。
メンテナンスを検討したいシーリングの劣化症状は以下の通りです。
- ・著しいひび割れ
- ・剥離
- ・破断
なお、シーリングのメンテナンスに関する詳しい内容は「外壁シーリングの寿命を縮める劣化症状とは?メンテナンスの注意点は?」の記事を参考にしてください。
外壁塗装の劣化状況
外壁塗装の劣化が進行すると、サイディング本体が吸水し、もろく壊れやすくなったり、カビやコケが生えやすくなったりします。
また下地にまで水分が及ぶと、木材に腐朽が生じ、場合によっては構造を傷め耐久性の低下を招くこともあります。
外壁塗装の耐久年数は、塗料の種類によっても変わりますが10年程度が一般的な目安です。
ただしフッ素塗料や無機塗料など高性能なものを使えば15~20年の耐久性が期待できます。
メンテナンスを検討したい外壁塗装の劣化症状は以下の通りです。
- ・塗膜の浮き
- ・塗膜の剥がれ
- ・コケや藻の発生
サイディング本体の劣化状況
サイディング本体の劣化は、シーリングや塗装の劣化が進行することによる影響が大きくなります。
サイディング本体の耐久年数は30年程度になりますが、シーリングや塗装のメンテナンスが適正に行われなかった場合は寿命が短縮される可能性が高くなります。
また物理的な衝撃で破損してしまうこともあり、その場合は速やかに補修することが重要です。
メンテナンスを検討したいサイディング本体の劣化症状は以下の通りです。
- ・ひび割れ
- ・反り
- ・欠けや破損
- ・サビ(金属サイディング)
なお、サイディングのひび割れの対処方法については「【サイディングひび割れ】発生の原因と補修方法とは?」の記事で詳しく解説しています。
まとめ
サイディングは、定期的にメンテナンスをしながら機能を維持し続けることが重要です。
また外部のメンテナンスは足場の設置がともなうだけに高額になりやすく、耐久年数などを目安に計画的に実施する必要があります。
適正な建物寿命を守るよう、劣化状況に応じたメンテナンスを検討するようにしましょう。